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【青函ツインシティ★スペシャル企画】待望の第二弾!青森大学・櫛引素夫教授の寄稿文ご掲載

2021.07.27、待ちに待った「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録が決定となりました。
この記念すべき年に、青函ツインシティ★スペシャル企画として、青森大学・櫛引 素夫教授に待望の第二弾「海峡を越えた繋がりの魅力」をご執筆賜りましたのでご掲載させていただきます。
一万年以上も続いた縄文時代、せっかくの縄文遺跡群巡りを、更に深くイメージしお楽しみいただく為に、ぜひとも(ご出発前に)お読みくださいませ。
食(肉や稲作)・弥生、一般の方々に身近な視点にもクローズアップされ、非常に興味深く映像が脳裡に浮かぶ様なリアルさを感じることができます。
一刻も早く、皆様に読んで頂き思いを馳せて頂ければと存じます。


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【海峡を越えたつながりの魅力】

 北海道と青森県、岩手、秋田の3県に広がる「北海道・北東北の縄文遺跡群」が2021年7月、世界文化遺
産に登録されました。2005年に青森県が活動をスタートさせて16年、担当者の方々のご尽力に頭が下がり
ます。
 1万年以上にわたり、また、津軽海峡を越えてつながりを維持した点、形が分かりやすい建築物などで
はなく、多くが地中にある埋蔵文化財である点など、世界遺産としての同遺跡群は多くの特徴があるとい
います。これらについては、専門家の解説にお任せしましょう。
 このコラムでは、一考古学ファンの立場から、最近わき上がってきた「私たちの社会と縄文時代のつな
がり」をめぐる思いをつづることにします。


★「まずい肉」も食べた縄文人?

 縄文時代の人々は、基本的な暮らしのスタイルを変えることなく、1万年余りの時間を過ごしてきたと
されています。また、非常に多様な動植物を口にしていたことが、三内丸山遺跡をはじめ各地の遺跡の発
掘成果から明らかになっていて、しばしば「グルメだった」という言い方もされています。
 しかし、その食生活の多様さは、今日的な意味での「豊かさ」とは趣が異なっていたようです。新聞記
者時代に読み込んでいた考古学者・小林達雄氏の著作「縄文人の世界」(朝日選書、1996年)を久しぶり
に開いて、当時の記憶をたどりながら読み直しました。
 小林氏は「縄文姿勢方針」という言葉で、縄文の暮らしを紐解いています。各地の遺跡で発見された食
料を数えていくと、哺乳動物が60種以上、貝類が350種以上、魚類70種以上、鳥類35種以上、植物性食料
は55種以上に上るとのこと。 「縄文時代の生業の特色は、この多種多様な食料の利用にこそあり、これ
が『縄文姿勢方針』なのだ」-。
 この姿勢は、二つの意味をもたらした-と小林氏はみています。まず、少数の種類の食料に頼らないた
め、季節ごとに食料を手にでき、さらに異常気象などに遭っても、影響を免れる食料で食いつなげたこと。
そして、自然の生態学的な安定維持につながったことです。

 とても興味深いのは、「彼らは、肉のまずい動物まで獲って食べている」という指摘です。縄文の人々
も食べていたというタヌキの肉を友人が送ってくれたので、小林氏が食べてみたところ、調理をどう工夫
してもおいしく食べられなかったといいます。そして、縄文人の味覚が自分と同じとは限らないと断りな
がら「…哺乳動物六〇種の中には、縄文人の舌にもまずいと思えるものがあったに違いない。それでも忌
避せずになんでも食べているのである」と推理します。
  そして、肉のおいしい動物ばかり狙っていたら、身近にそれらの動物はいなくなり、日帰りで済まない
距離まで狩猟に出かけなければならなくなる、と推理を重ね、多種多様な動物を食べる営みを「あたかも
柵のない牧場経営ともいうべき巧みな仕組み」と位置付けています。


★コメの魅力と呪縛

 それでも、縄文の食生活は盤石ではなく、気候環境に大きく左右されたようです。温暖化が進んだ縄文
中期には人口が増えたと考えられ、三内丸山遺跡も中期の中ごろ、規模が最大になります。縄文中期は火
焔型土器をはじめ、各地で躍動感にあふれる土器が作られ、生命力の高まりを感じさせる時期です。一方、
気候が寒冷化した後期以降は人口が減ったと考えられます。
  にもかかわらず、1万年余りの間、大きく変わらない生活を維持できた「何でも食べる」縄文人の暮ら
しは、「豊かさ」というより、「負けない確かさ」が持ち味だったのかもしれません。

 やがて、弥生文化が日本列島を西から東へ進み、本州北部では今から2,300年ほど前に縄文時代が終わ
りを告げたとされます。青森県弘前市の岩木山麓にある砂沢遺跡では、最古・最北の弥生前期の水田跡が
見付かりました。そこから南西へ20kmほど離れた津軽平野の田舎館村・垂柳(たれやなぎ)遺跡では、
弥生中期の水田跡が、当時の人々の足跡付きで残っています。稲作は普及からそれほど時間を掛けずに本
州北端へ到達し、定着した様子がうかがえます。

 稲作は生産力が高く、弥生文化圏では人口が急増したと言います。しかし、垂柳遺跡の後、水田や稲作
の痕跡は途絶えています。古墳時代を迎えても、大規模な前方後円墳が造られた東北南部とは対照的に、
東北北部は古墳文化の影響が限られ、人口が減ってしまったようです。これらは当時、襲いかかった気候
の寒冷化が原因とされています。
  もともと熱帯系の植物であるイネは寒さに弱く、品種改良が進み地球温暖化が叫ばれる今日ですら、
「冷害」が克服された訳ではありません。伝来から間もない、しかも当時の「北限」における稲作が、
気候寒冷化の前にひとたまりもなかったであろうことは想像に難くありません。
 一方で、縄文時代が終わりを告げた後も、稲作の及ばなかった北海道を中心に、縄文文化の特徴を受け
継ぐ「続縄文(ぞくじょうもん)」文化が広がりました。東北北部でも多くの遺物が見付かっていて、
いくつかの遺跡では、南方の古墳文化の遺物と一緒に出土したりしています。

 弥生時代以降、東北北部の人々がどの程度、コメに頼る生活に切り替えていたのかは分かりません。
 相当に縄文の名残を残した暮らしを送っていた、という見方もあります。それでも、少なくとも津軽平
野については、コメづくりをなりわいとする人々が移り住んだ、または人々が縄文文化を手放してコメづ
くりを受け入れた結果、気候の寒冷化に耐えきれず、津軽平野に住み続けることが難しかくなった…とい
う可能性が浮かび上がります。

 私が敬愛する考古学者は、以前、冗談めかしながらも、こんな風に話していました。
 「当時の青森の人たちは、コメづくりを覚えたばかりに、縄文の暮らし方を忘れてしまったのかねぇ。
コメがつくれなくなったあと、すっかり元気がなくなった。続縄文の人たちは、コメに手を出さなかった
おかげで、気候が寒冷化しても元気に暮らして、津軽海峡を越えて青森までやってきていたんだ」

 
★「海こそ縄文文化の特徴」

 私の知識は最新ではなく、理解もごく浅いものでしかありません。しかし、これらのような流れをたど
ると、どうしても今の私たちの暮らしと並べてみたくなります。

 勤勉さと均質さ、人口増加を武器に高度成長を成し遂げた近年の歩みは、「一つの有力な食べ物」に大
きく依存した弥生時代の延長線上にあるように見えます。しかし、今、私たちは、人口減少と高齢化、経
済の伸び悩みといった環境の激変に直面しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の脅威にも向き
合っています。このような状況は、寒冷化に見舞われ、コメづくりを諦めざるを得なかった人々の姿に重
なります。
 しかし、諦めるわけにはいきません。与えられた環境をいまいちど見つめ直して、これまで考えもしな
かった知恵や工夫を編み出して生き抜く、そんな勇気を「おいしくなくても、多様なものを食べて1万年
余りを生き延びた縄文の人々」から、分けてもらえそうな気がします。

 地元・青森をこよなく愛し、高校からの友人でもある考古学研究者は、こう話していました。
 「海こそ縄文文化を特徴づける重要な要素と考えています。全国各地に素晴らしい縄文遺跡があるけれ
ど、例えば長野や山梨で海を語ることはできない。関東の貝塚や新潟では海を語れるが、海峡を挟んだ共
通の文化圏を語ることはできない。海峡を挟んだ文化を含めて縄文を語れるのが、青函圏の魅力だと感じ
ます」

 気が付けば、「北海道・北東北の縄文遺跡群」を構成する17遺跡のうち、私は北海道の遺跡群をほとん
ど回っていません。北東北の遺跡も、最近の姿を知っているのは三内丸山、小牧野、是川の3遺跡だけで
す。

 縄文文化を隔てるのではなく、むしろ強く結びつけた海・津軽海峡を眺めながら、17遺跡めぐりの旅に
出かけなければ…。新型コロナウイルス感染症の収束が待ち遠しい毎日です。

<北海道・北東北の縄文遺跡群>
▽北海道
垣ノ島遺跡、北黄金貝塚、大船遺跡、入江貝塚、キウス周堤墓群、高砂貝塚
▽青森県
大平山元遺跡、田小屋野貝塚、二ツ森貝塚、三内丸山遺跡、小牧野遺跡、大森勝山遺跡、亀ヶ岡石器時代
遺跡、是川石器時代遺跡
▽岩手県
御所野遺跡
▽秋田県
伊勢堂岱遺跡、大湯環状列石

★第1編の執筆後、早く続編を…と思いつつ、丸3年も経ってしまいました。お読みいただき、ありがとう
ございます…!

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★待望の第二弾「海峡を越えた繋がりの魅力」⇐PDF版(ダウンロード)

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★2018年9月ご寄稿:第一弾「縄文ファンとして」⇐クリック!

 

【関連リンク】
・北海道・北東北の縄文遺跡群
・三内丸山遺跡センター
・青森大学
・JAF青森支部
・縄文遺跡群・世界遺産登録おめでとうキャンペーン!5m未満乗用車・11,700円(いー17遺跡)

 


 

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